低容量ピルって何?


避妊だけじゃない効用、生理を軽くし肌荒れ解消!?

日本でも間もなく承認予定の低容量ピルですが、ピルに関する情報が少ない日本では、副作用ばかりが取り上げられがち・・・。そこで、今回は話題の低容量ピルについて迫ってみます。


女性の体内では、受精卵の着床に備え、子宮内膜の肥厚と剥離が周期的に繰り返されている。ピルを飲むと、配合されている2種のホルモンが子宮内膜の増殖を抑えるため、痛みや出血量が少なくなり周期も短くなる。
周期が不規則、期間が長い、量が多い、痛みが強い・・・。こうした月経にまつわる悩みから開放される画期的な薬でもある「ピル」が今秋にもわが国でも発売されるそうです。それって避妊薬じゃないの?と思われるかも知れません。もちろん正しく使えば避妊効果はほぼ100%です。しかしピルの効用は避妊だけではありません。ピルには性ホルモンが含まれており、これを飲むことで”安全日”や妊娠中のような状態をつくります。すると排卵が抑えられて、同時に子宮の内膜の増殖が抑制されるそうです。月経は、受精卵の着床に備えて厚くなった子宮内膜が、不要になって体外に捨てられる現象。内膜の増殖が抑えられれば出血量がはるかに少なく、痛みも軽くなるわけです。排卵から月経までの間はホルモンの変動が大きいため、この期間は肌荒れや吹き出物に悩まされる人も多いのですが、ピルを飲むとこうしたホルモンバランスの乱れによるトラブルからも開放される。また、生理の周期がきっちり28日間になるので、旅行などの予定を立てやすいというメリットや、出血期間も3?4日と短くなります。飲み始める曜日を調整すれば、「週末はいつも生理から開放」という状態も可能だそうです。


私たち女性のからだへのメリットは・・・?

実はピルには確実で安全な避妊効果以外にも、私たち女性の身体にとってさまざまなメリット=副効用があるのです!

まず、月経困難症と呼ばれる重い月経痛が軽くなるか、あるいはなくなる。これは日本で承認されている中・高用量ピルが主に月経困難症の治療薬として処方されていることからもわかりますね。また、月経様出血量が減るので、生活が楽になり、月経過多によって起きる鉄欠乏性貧血が改善される。更に、月経不順がなくなり、月経周期が整うために生活設計が立てやすくなるし、数日単位なら、ピルの服用の休薬を早めたり遅らせたりすることで、旅行やスポーツなどの計画も立てやすい。

また、ピルを服用することで女性はホルモンバランスを一定に保つことができる。だから、ホルモンバランスの崩れから発病する危険性の高い卵巣ガンや子宮内膜ガンが予防できます。「特に卵巣ガンは、排卵が起きるたびに目に見えない小さな傷をつくることで起こりやすい病気ですから、ピルによる排卵抑制効果がその予防に役立つのです。現実に卵巣ガンの発症率では、ピル使用経験者は非使用者の約2/3になっています。更に、良性乳房腫瘍の予防や最近若い女性に多く見られる子宮内膜症や子宮筋腫、PMS(月経前症候群)の治療や予防にもなります。また、ピルに含まれる女性ホルモン特有の働きによってニキビや多毛などの男性化症状の治療にもなり、肌がみずみずしく若返るのです」とは某婦人科医の話。

一般的に女性は40歳くらいで、卵巣機能の低下が始り、思春期の頃と同じように月経不順になることが、多いそうです。また、骨からカルシウムが離脱する骨粗しょう症も同じ時期に始ってくる。これらは卵胞ホルモンの低下によるものなので、低容量ピルで卵胞ホルモンを与えれば、各症状の予防や改善にもなるのです。




ピルの服用者は全世界で9000万人!

日本では、激しい生理痛などの治療薬である高容量ピル(ホルモン配合剤)を避妊用に転用してきた経緯があり、既に25万人の女性がこの薬を飲んでいるそうです。間もなく登場するピルは、避妊目的に作られたホルモン含有量が少ない薬です。

(左の写真は低容量ピルの一つ。ホルモンの配合バランスが異なる錠剤を順番に飲む。服用ミスを防ぐため錠剤の色が違う。)



ピルは、卵巣から分泌される2つの女性ホルモンと同じ働きを持つ合成黄体ホルモン(エストロゲン)と合成黄体ホルモン(プロゲストーゲン)の2つ成分を含む薬剤のことで、アメリカで1960年に認可・発表されてから全世界150カ国で約9000万人の女性が避妊法としてピルを利用しているそうです。これまで日本では、月経困難症などの治療薬として使われている中・高容量ピルを産婦人科医の責任のもと、避妊薬として処方されてきました。ただし、中・高容量ピルは卵胞ホルモンの含有量が多く、血栓症や高血圧、体重増加などの副作用の危険性が高い。その点、低容量ピルは卵胞ホルモンの含有量が50マイクログラム以下と少なく、副作用がほどんどないと言われています。しかし、ピルは産婦人科医の指導のもとでしか服用できない要指示薬なので、産婦人科医の処方箋なしで薬局で手に入れることはできません。婦人科医に相談して自分がピルを服用してもいい身体なのかを確かめるための検診を受けた上で、はじめて処方されます。(内科でも処方してもらえる。)

健康な女性が避妊を目的としてピルを服用する場合、これらの検診を含めて、ピルの処方には一切健康保険は適用されません。ちなみに費用は、中・高容量ピルの処方で検査料、初診・再診料、薬代を含めて年間6万円程度だそうです。産婦人科医の話では、「低容量ピルの費用はアメリカでは1ヶ月2500円、ドイツでは2000円程度です。現段階では日本で認可後の低容量ピルの費用は明らかではありませんが、おそらく中・高容量ピルよりは高くなるのではないでしょうか。」



それでも、心配なのは副作用!!

さて、実際に低容量ピルを飲むことになったら、まず何を思うでしょうか。「避妊効果は高いかもしれないけど、やっぱり副作用が心配だわ」と思う女性が圧倒的に多いのでは・・・。

特に、いざ子供が欲しくなったときに妊娠しにくくなったり、子供に障害が生じるのでは、という不安もあるかも知れません。しかし長年にわたる各国の調査で、この点に関しては全く問題がないことが明らかになっているようです。服用前にきちんと排卵があった人なら、服用を止めてから3ヶ月以内にほぼ全員で排卵が再開します。胎児への影響も報告されていません。

実際に問題になるのは、飲み始めて3ヶ月以内に起こりやすい副作用です!10人中1?2人に吐き気などのつわりに似た症状、1?4人に1、2日間おりものシートで対応できる程度の出血が起こるそうです。いずれもホルモンバランスの変化に体が慣れれば治まるものですが、こうした症状がいやで飲むのをやめてしまう人もいる。医師の話でも「たしかにホルモン量の少ない低容量ピルでも、まったく副作用がないとはいえません。飲み始めはむかついたり、吐き気をもよおしたり、頭痛や乳房痛、体重増加、憂鬱感、不正出血などが起こることがあります。」ただ、これらの症状のほとんどは、きちんと医師と相談して自分に合ったピルを選んで、飲み慣れてくればやがてなくなるものです。また、ピルの使用によって死亡のリスクが高くなるのは35歳以上で、1日にタバコを15本以上吸う女性などです。検診を行って、からだに特に危険因子のない女性であれば、10代から閉経まで飲みつづけても問題はないと言われていますが、ちなみにピルには、一緒に飲むとその避妊効果に影響を与える薬がいくつかあります。抗生物質や鎮痛剤、精神安定剤、睡眠剤などを服用している場合は、医師とよく相談することが大切です。

なお、長期的な副作用としては、ガンや循環器系の病気が増えるとも言われています。ピルを長く服用している人は、服用していない人に比べて乳ガンが1.2倍、子宮頸ガン(子宮の膣に面した部分から起こるガン)が1.3倍?2.1倍、脳卒中が3倍、心筋梗塞が2.3倍多くなることも・・・ちょっと怖い数字ですが、「試しに数年間使ってみる分にはほぼ影響はない」とも言われています。生理の煩わしさや予期しない妊娠の心配から開放される等のメリットと考え合わせたうえで服用するかどうかを判断するべきでしょう。


ピルの副効用(メリット)

●月経困難症や月経痛が改善される
●月経周期が規則正しくなり、生活設計が立てやすくなる
●月経量が減り、貧血の予防と改善に役立つ
●卵巣ガン、子宮内膜ガンの予防になる
●子宮内膜症や子宮筋腫の予防と改善に役立つ。
●骨盤内感染症の予防になる。
●良性乳房腫瘍の予防になる。
●PMS(月経前症候群)の症状の予防になる。
●ニキビや多毛症が改善され、肌がキレイになる。
●骨粗しょう症の予防になる。
●子宮外妊娠を防ぐことができる。
ピルの副作用

●悪心、吐き気、嘔吐
●頭痛、めまい
●乳房痛
●体重の増加
●不正出血
●倦怠感、憂鬱感
●血圧の上昇
●血栓症
●脳血管障害
●乳ガン、子宮頸ガンのリスクがわずかだが高まる可能性がある。



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